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Channel: ロシアぶろぐ(仮)~目指せ1日1ロシアネタ~
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【時事】最近のウクライナ情勢(覚書その1)

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現在世界で大きな問題となっているウクライナ情勢について、自分用に覚書を作っています。日本の報道ではどうも伝えきれてないところがいっぱいあるような気がするので。


■ウクライナの民族構成

青・・・ウクライナ人
黄・・・ロシア人
赤・・・その他

ウクライナ全体では、ウクライナ人=77.8%、ロシア人=17.3%だが、ロシア系住民の大部分は東部と南部に居住している。特にクリミア自治共和国にはロシア系住民が多く、6割近くを占める(ウクライナ人は24%)

ウクライナの東部と南部はロシア語を母語とする人がかなり多い。一方、西部はウクライナ語優勢地域。中央部はウクライナ語優勢だが、ロシア語話者もかなりいる感じ。



■EUかロシアか


・2013年1月の時点での世論調査では、

EUとの連合協定に賛成・・・48%
ロシア主導の関税同盟に賛成・・・40%

ヤヌコーヴィチ大統領:「ウクライナの欧州志向は不変であり優先課題」


・2013年3月
の時点での世論調査では、

EUとの連合協定に賛成・・・51.9%
ロシア主導の関税同盟に賛成・・・48.1%


・2013年6月
の時点では、

EUとの連合協定に賛成・・・41.7%
ロシア主導の関税同盟に賛成・・・31.0%
どちらにも反対・・・13.5%



・2013年8月末


ヤヌコーヴィチ大統領:「EUとの連合は近代的欧州国家形成のための重要な刺激。ロシア、ユーラシア共和体諸国、その他の世界のリーダー及び新たな経済発展地域との関係深化の継続の必要性がある」

EUとの連合協定に賛成・・・45%
ロシア主導の関税同盟に賛成・・・36%
どちらにも反対・・・19%


【ロシア側の発言】

・EUと連合協定を結べば、ウクライナは関税同盟に加盟できない。
・1997年のロシア・ウクライナ友好協力条約に違反することになる
・ウクライナはロシアの完全なパートナーではなくなる
・ウクライナの決定は尊重するが、EUを選んだ場合、ロシアは自国の利益を保護することになる


2013年11月


IMFが貸付の条件として、家庭のガス価格の値上げするよう要求。ヤヌコーヴィチは国民に負担を強いるようなことはできないと難色を示す。

2013年11月9日

アザーロフ首相:「大統領及び政府は可能な限りの手
を尽くした。連合協定署名が実現しなかった場合の責任はEU側にある」


2013年11月11日


エフレーモフ地域党会派長:「
対ロシア関係が複雑になったことにより南部及び東部の雇用状況が悪化している。EU側による条件を満たしたとしても連合協定が署名されるとは限らない」


2013年11月12日

ペレビーニス外務省情報政策局長:「ウクライナは連合協定署名に向け可能な限りの努力をしており、EU側からの客観的な評価に期待する」

ランディク地域
党議員:「関税同盟各国との貿易関係への深刻な影響が懸念される」→EUとの連合協定署名を一年先送りするようヤヌコーヴィチ大統領に要請


2013年11月13日


アザーロフ首相:「ヤヌコーヴィチ大統領は雇用問題に関する懸念を有しており、対ロシア貿易関係の修復が現在のウクライナの優先課題」「ロシアへの輸出が4分の1減少すれば、ウクライナ企業の倒産、大量のレイオフ、税収減及び生活水準の低下をもたらす。ロシアとの関係正常化が国家経済に関する最優先課題である」「WTOに仲裁を仰ぐことは問題解決に資することはないかもしれない。ヤヌコーヴィチ大統領は9日のプーチン大統領との会談において、現状は両国の長期的国益に相応しくないとして、関係強化策をとることで合意した」


2013年11月14日

コジャーラ外相:「連合協定署名は先送りすべきでない」


■EUとの連合協定の準備プロセス一時停止へ


2013年11月21日

閣僚会議は、ウクライナの国家安全保障の利益に鑑み、失われた国内生産量及びロシア・CIS諸国との貿易・経済関係を回復し、対EU関係では妥当なレベルの国内市場を形成するために必要な措置を詳細に検討・策定する必要があるとして、EUとの連合協定署名に向けた準備プロセスを一時停止する旨の閣議決定を採択。同決定は、関係各省に対し、一連の問題の精査のための三者委員会の設置をEU及びロシアに提案するよう指示。


■各国の反応

2013年11月21日

プーチン露大統領:「ロシアはウクライナとEUの連合協定締結には反対ではない」「しかしヤヌコーヴィチ大統領が提案した三者委員会に参加する用意がある」

ヤツェニューク「バチキフシチナ」党会派長:「21日付閣議決定はウクライナの欧州統合の方針を停止する違法かつ違憲の決定であり、大統領のリコール及び閣僚会議解散の直接の根拠となる」

ウクライナ訪問中の欧州議会監視ミッションのコックス、クファシニエフスキ両代表:同日付閣議決定に深い失望。検察改革及び受刑者の国外治療に関する法律についての自らの約束を果たすようヤヌコーヴィチ大統領に対し呼びかける声明を発表。翌日ハルキウでティモシェンコ前首相と面会。


21日以降、EU(アシュトン上級代表)、ドイツ(ヴェスターヴェレ独外相)、英国(ヘーグ外相)、ポーランド(外務省)、ラトビア(外務省)、リトアニア(リンケビチュウス外相)、スウェーデン(ビルト外相)、ハンガリー(外務省)、スロバキア(外務・欧州統合省)、米国(サキ国務省報道官)及びカナダ(ベアード外相)等は、同日付閣議決定に失望を表明する声明を発表。

21日ペスコフ露大統領報道官は、ロシアとの貿易・経済関係を改善・発展させたいとのウクライナの意向を歓迎する旨発言。


21日深夜より、キエフ市中心部の独立広場及びヨーロッパ広場に21日付閣議決定に反対する市民が集まり、22日以降も抗議活動を継続。22日、ティモシェンコ前首相は、ウクライナ国民及び国内の野党に対し同決定への抗議のための戦いを呼びかけ。

22日、フィーレ拡大・近隣政策担当欧州委員は、ウクライナ側の準備が整い次第、EUは連合協定署名に関する交渉を再開する用意がある旨発言。

22日、クリミア自治共和国最高会議は、21日付閣議決定を支持する旨の声明を発表。


<ここまでの流れ>

借金を背負いまくっているウクライナが生き残るためには、EUと組むか、ロシアと組むか決断する必要があった。

ウクライナ政府は基本的にはEUとの協調路線を取っていたが、EUは融資の条件として、ウクライナに痛みを伴う改革を要求。

ウクライナ政府は国民に大きな打撃を与えるEUの条件に難色を示す。

また、ロシア・CISとの関係悪化によって、失業者が増えることも不安要素。

結果、EUとの連合協定の署名を延期した(拒否したわけではない)。

ヤヌコーヴィチ大統領の急な方針転換に怒る人々がデモを開始。

ヤヌコーヴィチ大統領は腐敗にまみれていると主張する人も少なくない。

ウクライナはロシアにとっては地理的に重要であるので、ウクライナの選択を尊重するといいつつ、実はウクライナを抑えたいという思惑があるとの説も。


以降、武装した過激派や反体制派による抗議活動が活発化し、各地で火の海になる

ヤヌコーヴィチ大統領が過激派に命を狙われ国外脱出し、ロシアに助けを求める

反体制派による暫定政権(トゥルチノフ大統領代行/ヤツェニュク首相代行)

ロシア系住民が多いクリミア自治共和国にロシアが派兵(ロシア系住民を守るため)

ロシア、欧米から猛烈に批判される←イマココ



EU路線にするか、それともロシア路線にするかという点では、世論調査ではかなり拮抗していて、EU派がやや上回る程度だった。


ロシア軍が掌握したとされるクリミア自治共和国は、もともと住民の半数以上がロシア系現ウクライナ政府(ヤヌコーヴィチ大統領を追い出した野党の人たちによる政府)は、ロシア軍と戦闘を行う準備をしているという。


過激派によって命を狙われているヤヌコーヴィチ大統領は、ロシアに保護を求め、ウクライナと国境を接するロシア領ロストフ・ナ・ドヌーにいる。

なお、ヤヌコーヴィチ大統領によれば、これはクーデターであり、現政権は正統なものではない。また、身の安全が保証された場合、ウクライナに戻る準備があるとのこと。



参考:ウクライナ週報(在ウクライナ日本国大使館) ほか


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